落車したあとはいつから再開していいの?

今回はロードバイクにどうしてもつきものである、落車について。

落車してしまった、その日の夜、次の日からなにに気を付ければよいか、についてです。

ご自身が乗られている方はもちろんですし、家族が乗っている、部活で生徒を指導しているなど、周りに自転車に乗っている人がいる方も是非参考にしてみてください。

いつから再開していいかは落車した時の重症度による

一言で落車と言っても、状況はそれぞれの事故で異なります。

もし落車した後に病院を受診された場合、担当医の指示に従いましょう。
特に骨折をした場合は、必ず主治医の指示を聞いてください。骨折した部位や転移の有無などにより運動再開の時期は個人差が出ます。再開の時期を誤ると、治療が遅れてライド再開がさらに遅れる可能性が出てしまいます。

しかし、もし病院を受診してもなんともないと言われた時や、そもそも落車直後から特に症状を感じなかった場合。

そのような場合は以下の手順にしたがって運動を再開してください。

1. 24時間は厳重監視

受傷後24-48時間は徹底的に心身を休めます。

これは、くつろいで身体を休めるだけではありません。落車による頭部外傷で脳のダメージを負っている可能性もあります。頭を休めるために、TVやゲーム、スマホなども使用を控えてください。

特に落車で頭を打った可能性がある場合、受傷後の24時間は厳重監視下におきましょう。できるだけ一人にならず、そばに必ず誰かがいる状況を保ちます。

理由としては、頭を強くを打った場合、直後は症状がなかったとしても、実は頭蓋内でじわじわと出血が進んでいて、時間が経ってから症状が遅れて出現することがあるからです。

このため、万が一に備えて必ず誰かがそばにいる環境を作りましょう。家族が同居している場合、この日だけは就寝の部屋を一緒にしてもらったり、一人暮らしの人は家族や友人を頼ったり、など臨機応変に対応してください。

受傷後に強い頭痛、めまい、嘔気などの頭部症状が出た場合は夜間でも病院を受診しましょう。

傷を負った場合はこちらの記事を参考にケアをしてみてください。
プロ(医師)もやっている傷の治療をご家庭でも

 

2. 3日目からローラー上で再開

48時間以上経過したのち、有酸素運動から再開可能です。
受傷時に脳震盪が確認された場合は、より長い期間(1週間程度)休息期間を設けることが推奨されます。

この段階では落車の可能性が限りなく低い固定ローラー台で再開します。3本ローラーは転倒の恐れがあるため控えてください。

練習内容は軽い有酸素運動からです。強い負荷をかけてはいけません。つまりインターバルやVO2Maxに至るような高強度は御法度です。リカバリーライドのつもりで取り組みましょう。

リカバリーの強度の目安は、「筋肉は頑張らないけど心拍数は上がる」程度です。心拍数ベースでいうならば、%MAX 80%を超えない程度の強度で練習をおこないます。

https://www.cycloch.net/2015/05/20/18747/

3. 1週間後に実走可

7日経過したら、屋外での実走を再開します。

ただし、この際も集団練習はやもがく練習など、接触や落車の危険性のあるものはできるだけ避けます。
この段階から強度のある練習は再開して大丈夫ですが、不安であればメディカルチェックを受けましょう。

ただし、バイクコントロールに不安がある方は、実走の再開も4週間開けた方が無難ではあります。

 

4. レースは4週間後

レースは集団走行が増え、またペースも上がるため、落車のリスクがぐっと高まります。成人であれば最低2週間、小児であれば4週間は間隔を開けてレースを再開します。

頭部への衝撃が短期間で繰り返されると重篤な脳障害に

なぜ練習の再開を慎重に行うべきか、というと、セカンドインパクト症候群を予防するためです。
セカンドインパクト症候群(Second impact syndrome : SIS )とは、頭部に衝撃を受けて脳震盪を起こした後、短期間に2度目の衝撃を受けることで、脳に重大な損傷が生じ、重篤な症状に陥ることを指します。
このセカンドインパクト症候群(SIS)は、稀な疾患ではあるものの、若い人でも発症する可能性があり、そして有効な治療法がまだ確立されていません。このため、発症しないように予防することがとても重要なのです。
SISを予防する方法、それは脳震盪を起こさないこと、そして起こしたら十分な休息期間を設けて脳を回復させることです。

 

息の長い競技生活のために

自転車競技は他と比較しても競技人生が長いスポーツです。40代でもなお最前線で活躍する選手が沢山います。
しかし落車による頭部外傷は、適切に対処しなければその後後遺症を残す恐れもあります。決して落車を侮らず、適切な対応を心がけてください。

Consensus statement on concussion in sport—the 5th international conference on concussion in sport held in Berlin, October 2016より参照


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