今日はリクエストのあった花粉症について。
花粉症は正式にはアレルギー性鼻炎と呼ばれ、本来無害な花粉に対して過剰防衛をしている状態が花粉症の病態です。今回は花粉症に悩むアスリートへの対策法をまとめました。

あなたの重症度は?
あなたの花粉症はどの程度でしょうか?まずは重症度を調べてみましょう。
まずくしゃみ/鼻水の程度、および鼻づまりの程度を5段階で評価します。
そして先ほど点数を付けた数値が下の表であてはまる場所が貴方の花粉症重症度、ということになります。
同様にこちらのサイトでも重症度を判定することができます。
https://secure.novartis.co.jp/kafun_kyousei/check/
中程度以上は処方箋が必要
この分類で軽度の場合、治療薬は抗ヒスタミン薬を1種類内服のみで改善が期待できます。このお薬は市販の薬局でも手に入るものなので、受診の手間や感染リスクを考えて、薬局で購入でもよいと思います。
一方、中程度以上の方だと薬を1種類では限界があり、2種類以上を組み合わせるほうが良いと言われています。この場合、処方箋が必要になるため、アレルギーを得意とする内科を受診することをおススメします。
花粉症治療の基本は早めのお薬
最近はアレルギーに対して根本治療が登場していますが、最低でも3-4年必要であったり、治らない人が一定数いることもあり、依然として治療の基本は内服で症状を起こさないことです。
花粉症治療でなぜ症状を起こさないことが大事かというと、花粉症による負の連鎖を食い止めるためです。
花粉症 負の連鎖
花粉症の病態はアレルギー性鼻炎です。本来は無害な花粉に対して身体(鼻粘膜)が過剰に反応してしまうことがこの病気の正体です。花粉が鼻に入り、過剰に反応するたびに、鼻粘膜は鼻水を大量にだして洗い流そうとしたり、鼻の通路を狭くして花粉が奥に侵入しないようにしたりと対策を講じます。しかし、鼻が防御を繰り返すほど、鼻粘膜はどんどんダメージを負い、次に花粉に暴露されたときにはより過剰に反応してしまうことになります。
このように炎症が繰り返しおこってしまうと、花粉が飛んでいなくても粘膜が荒れている状態になり、鼻粘膜が不可逆的な変化を受け、副鼻腔炎や蓄膿症など他の疾患の原因となってしまいます。
このことからも、花粉症の治療は症状を起こさないことで負の連鎖を断ち切ることが重要になります。
バレンタインが過ぎたら内服スタート
具体的には、花粉が本格的に飛び始める前に内服を始めます。
花粉が飛来する時期は地域や前年の気候によって左右されされ、毎年変化しています。
気象庁が花粉飛来予想時期を公表しているので参照されるとよいです。
https://tenki.jp/pollen/expectation/
過去のデータをみると、2月下旬には飛び始めていることがおおく、その前に内服を開始することが理想的です。つまり、バレンタインデーが過ぎたらチョコではなくお薬を開始です。
チョコを楽しんだあとは花粉症のお薬を
運動習慣とアレルギーの関連
長期的に見ると、外での運動習慣は花粉症ふくむアレルギー疾患の症状を改善する効果があると示唆されています。
詳細な機序は現在研究中ですが、一つの理由は、運動習慣が免疫系のバランスを整えるからでは、と考えられています。
先述の通り、花粉症含むアレルギーは免疫の過剰応答が原因です。運動習慣はこの過剰に傾いた免疫システムを正常に戻してくれる働きがあるため、花粉症を改善するのではと考えられます。
(これは別記事でしっかり書きます)
また、外で運動を続けると飛んでいる花粉に少量ずつ暴露されつづけ、身体がなれてくるため(この現象を脱感作と呼びます)ではないかとも憶測されています。
このアレルギー改善効果、特に成長期の子供において顕著です。お子さんがいらっしゃる方は、子供に外での運動習慣を身につけさせることで、将来的な花粉症のリスクを抑えることができるかもしれません。
重症な人は無理せずインドアトレーニングを
長期的には運動は花粉症を改善させますが、重症の方には花粉が舞う外での練習は気が引けますよね。その場合、無理に外ライドに行かず、室内トレーニングでも十分です。最近はzwiftやone lapなどの室内トレーニングアプリが充実しているので、外に行かずとも楽しく負荷をかけながら練習できます。
花粉情報は天気アプリやサイトでも確認できるので、外ライドに行く時は花粉情報に留意しましょう。
まとめ
・花粉症は症状を起こさないことが大事
・中程度以上はお医者さんに相談
・治療開始はバレンタイン後すぐに
・運動はアレルギー全般に良い効果あり
・特にキッズには将来の花粉症予防に有効
・重症な人はインドアで楽しもう
参照
アレルギー性鼻炎診療ガイドライン
Influence of physical inactivity on the prevalence of hay fever,
Allergy. 2006 Nov;61(11):1310-5
Exercise immunology: Future directions, J sport Health Sci. 2020 Sep;9(5):432-445
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