ライド後のリカバリーには何が必要なのか?

今日はヘビーライダーにもホビーライダーにも欠かせない話。リカバリーについてです。

日曜日の楽しいライドの疲れが取れないまま月曜日仕事に向かっている貴方。もしかしたらリカバリーを工夫することで元気に出勤できるかも。

 

リカバリーの大原則は食べる・寝る

リカバリー、つまり回復のことですが、大原則は「よく食べ、よく寝る」ことです。

簡単に聞こえるようですが、誘惑の多い現代社会ではこれらを阻害する要因であふれています。
今回はこのよく食べよく寝るためにどのようなことが工夫できるのかを真剣に考えてみます。

 

炭水化物はサイクリストの味方である

自転車は基本的に莫大なカロリーを消費する全身運動です。

100km以上のライドに出た場合、消費カロリーは人によって2000kcal近くにもなり、それらをすべて補給食のみで補うのは難しい。(それが可能な胃腸を持ち合わせた猛者も時々いますが)

そのため、運動終了すぐに糖質補給し、速やかに筋グリコーゲンを補充しましょう。

ライドした直後、そして翌日も続く疲労を感じたことはありませんか?その疲労感、原因の多くは「筋グリコーゲンの枯渇」です。(筋グリコーゲンとはなにか….は別の記事参照)

グリコーゲンを補充するためには、その材料である糖質もしくは炭水化物を摂取することが必要になります。

糖質・炭水化物が豊富な食べ物は、いわゆる主食です。

パスタは正義の味方

 

昨今は低炭水化物ダイエット、糖質制限などでなにかと悪者にされがちな炭水化物ですが、長距離スポーツ競技者にとっては主なエネルギー源となり、練習の質を高く保つために欠かせない栄養素です。遠慮なく採りましょう。

仮に、普段は糖質制限でダイエットを行っている…という方も、ロングライドに行った日だけは例外的に炭水化物をきちんと食べてください。

筋グリコーゲンが少ない状態は疲労感が強いだけでなく筋肉が溶け出しやすい状態でもあるのです。

大塚製薬HPより抜粋 https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/

上記グラフで示されているように、グリコーゲンが少ない時は筋肉の分解量が増えています。

これは身体が飢餓状態と判断し、大切な筋肉もエネルギー源として使用しているからなのです。
ああ勿体ない。筋肉の分解を予防するために、グリコーゲン(糖質)を補充します。

 

甘いものもサイクリストの味方です

いつとるの。今でしょ。

いつとるか、というとできるだけ早くが答えになります。

古典的には運動後30分以内…という通説がありますが、実際30分を過ぎても身体は吸収モードにいるため、運動後できるだけ早くに何らかの炭水化物を摂取しましょう。

 

たんぱく質+糖質で回復力アップ

グリコーゲン回復をさらに短時間でおこなうために、少量のたんぱく質と同時摂取をしましょう。

運動直後の糖質を取る時に、10g程度のたんぱく質と一緒に糖質をとると、筋グリコーゲン回復の時間が早まることがわかっています。

糖質単体でもグリコーゲンは48時間、つまり2日程度時間をおけば自然と回復するのですが、たんぱく質と一緒にとることでその回復時間が早まるのです。

この方法は、翌日に練習(仕事)がある場合に特にオススメです。

私の場合ですが、マイプロテインのソイプロテインの半量に市販のココアパウダーをまぜてプロテインココアシェイクを作ってライド後すぐに飲むようにしています。

画像

ライド後はまずこれを飲んでから食事の準備にとりかかり、空腹時間を短くするようにしています。

 

お酒はダブルの理由でおススメしない

ここでひとつ注意したいことが。ライド後のビール、とっても美味しいんですが、リカバリーという観点からすると2つの理由でおススメしません。

1つ目は、アルコールがグリコーゲンの補充を邪魔するから

アルコールは肝臓で分解される際に糖質を使用します。つまりライド後に食べたものはグリコーゲンとして補填されないのです。

「あれ?じゃあグリコーゲンにならずに何になるの?」というと、これは「中性脂肪」として別のエネルギー源として貯蔵されます。つまり、アルコールと一緒に食べたものは、筋グリコーゲンというガソリンではなく、中性脂肪という重りに変換されてしまうのです。

 

2つ目は睡眠の質を下げてしまうから

お酒を飲むと眠くなります。アルコールには入眠を促す作用があるのですが、一方で熟睡を妨げる効果があるのです。リカバリーという観点からも質の良い睡眠をとるため、アルコールは控えたほうが吉です。

飲酒関連の投稿はこちらもご参考に。

スマホをいじらずとにかく寝よう

食事を十分に食べたあとは、とにかく寝ましょう。質の良い睡眠をたっぷりと。

日本人は世界的にみても睡眠不足です。

睡眠時間はOECD最下位(OECD発表データより)

 

短時間でも健康を害さない「ショートスリーパー」と呼ばれる人々は確かに存在するが、これは遺伝的要素が強いと言われており、日本人全体でも数%未満と考えられています。

ショートスリーパーは訓練で鍛えられるものではなく、多くの人は6-10時間の睡眠が必要ということです。

そしてその睡眠にとって障壁のひとつとなっているのがスマホ。
スマホのブルーライト、そしてスマホを使った活動によって得られる音や画面の刺激によって脳が興奮状態となり、入眠の妨げとなっているのです。

良いリカバリーのため、そしてよい人生のためにも、スマホとの距離感を再度見直してみてください。

 

日が沈んだらカフェインをとらない

ライド前にカフェイン摂取は競技パフォーマンスを向上させるので推奨されています(詳しくはこちら

ですが、夕方以降に飲むのは睡眠を妨げることになりおススメしません。カフェインの離脱時間(効果が切れる時間)は個人差がありますが、短い人でも3-4時間、長い人であれば9時間という報告もあります。

カフェインに対して効きが良いという自覚のある方は、午後3時以降のカフェイン摂取は控えるようにしましょう。

 

+αでマッサージとストレッチ

睡眠と食事、この二つを死守した上で、それでも余裕のある方は、ストレッチとマッサージを導入しましょう。

私が愛用しているのはトリガーポイントからでているローラーとボール。

筋膜リリースも様々な研究が進んでいます。筋膜リリースだけで、競技パフォーマンスそのものが大きく向上することはありません。しかし、練習後の筋肉の痛みを減らす、柔軟性を増す、などライドの快適性を増してくれる効果は明らかにされており、練習の質をたかめることが期待できます。

最近は下記のようなマッサージガンも販売されています。自分ではマッサージの難しい太もも内側や肩、背中と言った場所に効果的です。

日常的なアイシングはしない方が良い

応急処置の記事でも触れましたが、アイシングは怪我をした際にその炎症が広がることを予防し、怪我の治りを早くしてくれます。

しかし、怪我をしたわけでもないのに日常的にアイシングを続けていくと、トレーニングの効果が落ちてしまうことがわかっています。

これはまだ原因が明らかにされていませんが、練習とは意図的に筋肉にダメージを与えて炎症を引き起こし、その炎症が治るときの超回復を利用して強くなります。アイシングによってこの意図的な炎症が抑えられてしまうことによりトレーニング効果がおちてしまうのではと予想されています。

現段階では、アイシングは怪我や普段と違う痛みがおきた場合に行うのみとし、普段からアイシングを行うのはオススメしません。

 

まとめ

リカバリーの基本は「よく食べ、よく寝る」

・ライド後は炭水化物を中心によく食べる

・お酒はリカバリーの敵と心得よ

・スマホは電源を切って寝室に持ち込まない

・マッサージストレッチは補助的に使用

・アイシングは怪我をした時にのみ行う

 

参照

Acute effects of self-myofascial release using a foam roller on arterial function
 2014 Jan;28(1):69-73.

Effects of self-myofascial release: A systematic review Journal of bodywork and movement  therapies 2015 Oct;19(4):747-58

The Effects of Regular Cold-Water Immersion Use on Training-Induced Changes in Strength and Endurance Performance: A Systematic Review with Meta-Analysis Elvis S. Malta, et al
Sports Medicine

「寝る前のスマホ」が健康に悪い理由 WIRED US 2015.04.09


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