アスリートと歯

アスリートの皆さん、最後に歯医者 行ったのはいつですか?

半年以上行ってなければ要注意です。
何故なら、アスリートは口腔環境が悪くなりやすいことが研究で示唆されているからです。

虫歯は歯の病気だけにあらず

虫歯はご存知の通り、歯が口腔内にいる菌によって蝕まれた病気ですが、その影響は歯だけには及びません。様々な内科疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)との関連もわかっています。

虫歯の状態とは、口の中に菌が大量に存在し、それを毎日つばと一緒に飲み込んでいる状態なので、炎症の原因となる物質を毎日多量に飲み込んでいることになります。この炎症物質は血管を傷つけてしまい、心筋梗塞、脳梗塞などの血管病変の原因となると言われています。また他のアレルギー疾患や自己免疫性疾患との関連も指摘されており、虫歯は歯の病気だけにあらず、全身の病気を引き起こしうる悪魔のような存在です。

また、虫歯だけでなく歯周病などの口腔内環境を乱す疾患は、頭痛や腰痛などの関連も指摘されており、口の中の環境を整えることは競技パフォーマンスを維持する面でも非常に重要です。

アスリートは虫歯になりやすい

アスリートにとって健康的な身体を維持することは競技の基本。しかし、残念ながらアスリートは一般人と比較し虫歯になりやすいことがイギリスの研究で明らかにされています。

2019年に発表された研究*1)によると、様々なスポーツ(自転車、ラン、水泳、サッカーなど)をおこなっているアスリート352人にたいして口腔環境の調査を行ったところ、約半数の49%に齲蝕(虫歯)が見られ、32%には口腔環境が競技に影響を及ぼすレベルまで悪化していたことが報告されています。

しかも、 このアスリートの集団は、平均的なグループと比べて、歯科受診と歯磨きの頻度は高く、口腔環境に留意していたにもかかわらず。

この研究から考えられている原因は2つ。

甘いスポーツドリンク

一つはアスリートが甘い飲み物や補給食を摂取することです。自転車乗り含む長距離スポーツ競技者にとって、補給は命。補給を怠れば、それこそ低血糖症状により命にかかわるので、絶対に止められません。

しかし、一方で補給食に含まれる単糖類は齲歯(虫歯)の原因になる物質ですし、ジェルやドリンクは口腔内の隅々まで行き渡ってしまうため、齲歯のリスクはより広範囲に及びます。

 

口呼吸

もう一つは、 激しい呼吸で口腔内が乾燥すること。

案外知られていませんが、口の中が乾燥することも齲歯のリスクです。普段の生活であれば唾液の分泌により口の中が常に潤っているのですが、口の中が乾燥しがちな睡眠中や運動中は齲歯の原因菌が増えやすいタイミングとなってしまいます。

全力疾走すれば当然口呼吸もします。虫歯予防のために鼻呼吸だけで練習….などという離れ業はできません。

歯科受診の重要性

我々が出来ることは、普段のケアと、歯科受診です。

普段のケアを徹底することは大前提ですが、セルフケアでは限界があります。定期的な歯科受診をオススメします。歯科は怖い….と言う方もいるかと思いますが、最近は麻酔をかけて治療してくれる病院もたくさんあります。是非、美容院に行く感覚で受診をしてください。

1)  Oral health-related behaviours reported by elite and professional athletes
Julie G, Paul A, Aviva P, Ian N, British Dental Journal volume 227, pages276–280(2019)

 


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